2018年11月25日東京文フリ作品紹介

こんにちは、短歌プラットフォーム「さんばし」です。

いよいよ東京文フリが迫ってきましたね。今回はそこで販売される私家版歌集・同人誌をまとめてご紹介します。

*出展者の方へ 当日まで更新予定です。ぜひ情報をお寄せください。

(以下ブース番号順、敬称略)

 

更新情報

2018.11.23 10:30

G-37(cieliste)追加しました。

H-15(七星軒)追加しました。

H-21(ぬばたま)追加しました。

2018.11.24 9:00

G-52(cahiers)に『cahiers vol.9』追加しました。

2018.11.24 19:45

F-47(メゾン文芸部)追加しました。

H-13(ほうろう)追加しました。

H-14(ベランダでオセロ)に『tanqua franca』追加しました(価格のみ)。

H-21(ぬばたま)に『さけさけの短歌vol.1』追加しました。

2018.11.25 4:45

H-14(ベランダでオセロ)に『tanqua franca』三首選を追加しました

 

 

【New!】

F-47 メゾン文芸部

『だけの日だった』橙田千尋 300円

炭酸の気泡、あるいは一斉に放たれる五月の徒競走

図書館を出たあとみんななまぬるい なまぬるいのを笑える人だ

壇蜜は宝石型の飴玉を舐めてるらしい だけの日だった

 

G-35 Kaen

『アフターディナーミント』中村雪生 800円(詳細記事はこちら

譲られた寝床についたゴジラたちやさしく起こす声になりたい

真夜中のキッチンで煮る烏龍の烏の部分に春うらら

風吹いて言葉をなくしたとしてもいつもと同じごはん食べよう

 

G-37 cieliste

『作中人物月へ行く』壬生キヨム 1000円

雨弓からこぼれた言葉を取り出してごちゃまぜ箱に入れておくから

もし船が重くて荷物を捨てるならぼくが星海へと飛び込むからね

イカロスが決心しそうな晴天に僕は作中人物ですから

 

G-45 BL短歌合同誌実行委員会
『共有結晶vol.4』BL短歌合同誌実行委員会(BL短歌(+BL俳句)は30名が寄稿) 800円
抱きしめたい、くちづけたいと思えたらよかったけれど、何もできずに (柳川麻衣)
フィドル鳴り響いてお葬式の日の子どもはみんな楽しそう (岩川ありさ/伊田あい)
魅入られる、溺れる、嵌まる、耽溺する 沼のうちではしあわせのこと (黒澤蜜)

『ヴァーチャル・リアリティー・ボックス』穂崎円 700円(詳細記事はこちら


たましいの欠けてうまれてきたことを男や女ともう呼ばないで
どうしても同じに見える掌をシザー・ハンズと呼べば夕闇
降ってくる、あれは無数の茨だと誰か代わりに言ってください

『対岸へ渡る』平田有 1000円(詳細記事はこちら
東京ドームの天井がひかる仰向けばいつかほろびるときに乗る舟
スポンジに手を差し入れて抜き取ったとき手のひらが切られている
ひそやかなシェルターとして雨傘はほの明るい日の朝も行き交う

 

G-52 cahiers

『これはただの』千原こはぎ 800円(詳細記事はこちら

これはただの星です どうしようもない孤独をちいさくまるめたような

もういいと手を離すから巻き戻しボタンを押して必ず押して

パラシュートみたいにひらく手のひらが頭を撫でてゆく、ただ一度

 

『cahiers vol.9』 500円

くさむらに投げ込んだままで秋は来るそれから思いが帰ってこない(とみいえひろこ/ほほえみのなりたち)

くびすじのひかりひとすじたらちねの母の名前は父のみが呼ぶ(笹谷香菜/ピザまんと夜)

みどりさん朝になったよ 玄関で白秋のまね素敵じゃないか(二方久文/彷徨える河)

 

G-57 ロクロクの会+

「OCTO」1973年協会刊 1000円

植物を羽織ったような一軒家むろん廃墟のことなんですが(佐藤りえ)

降りそそぐ光(それとも小糠雨?)羽化することをこばむ蛹に(松野志保)

かろうじて昭和生まれの男子らと呑む夜 そろそろ潮目が変わる(吉村実紀恵)

 

G-59 手稿録

『手稿録』今井心/佐原キオ/岐阜亮司/田丸まひる/石井遼一/本多真弓/山階基/北虎叡人 400円

 

H-03~04 ぬはり社短歌会

(こちらでは20冊もの新刊歌集を扱うそうです。まとめてご紹介します。著者五十音順)

『旅路〜自然観照〜』大石惠子 500円

刈り終へし田の香しるけき野の果てに早もかかれる望の月かげ
あをあをとビロードをなすドロミテの谷の奥なるひとつ集落
寥寥と荒野に風の渡る音最果ての地の灯台に聞く

 

『北の大地』加藤道子 500円

春遅き北に咲き初む山桜耐へ来し冬を彼方に忘却(わする)
相次ぎて桜も梅も草も木も咲き盛んなる春終楽章
金星の輝く夕べ明日もまた猛暑なるらむ原爆忌くる

 

『林檎むく君がナイフの水色の』菊池知勇 500円

四六時の刻を違へず鳴る鐘の一つを聞きて灯を消しにけり
あはれ見よ幼なかりける日のままのたましひ投げて草に眠るを
姫神山いただきの岩に見下ろせばみどり遙けし岩手くにはら

 

『菊池知勇 直筆歌集』菊池知勇 500円

現し世にわが生きたればみちのくの曠野(あらの)にともす小夜の灯火
寒蘭には寒蘭の世界ありにけり小さき花をささげゐにけり
夏の日のかたぶく頃となりにけり近づく島のかなかの声

 

『菊池知勇短歌秀作「小夜の灯火」』菊池知勇 500円

とこしへに消えずとおもふたましひのかなしき宿をここと定めむ
はらはらと散りくる見ればうつし世の落葉のいろのうつくしきかな
草をわけてわたしが歩く音ばかりこの山奥にさえかえります

 

『想ひ出』西原信子 500円

花冷えにひらかぬ桜待ちかねてちらほら咲きの木下に佇む
「寒くないか」声かけながらその妻の車いす握る白髪の人
花の香のみなぎらふ道走りゆく児の背にとまる花のひと片

 

『人生の断片』田島初実 500円

男の香ほの立たしめて青年が本読みている早春の電車に
花や咲く訪(おと)ない来れば寒き春に枝垂桜の色は未(いま)だく
西行の詠いしごとく花の下春三月に夫は逝きたり

 

へのへのもへじ』長島加音子 500円

ありなしの風に散りくる枯葉どちゆつたり舞ひてふんはり着地
電線にクリスタルのごと連なりて雨の雫の輝きて落つ
わけもなく淋しくなりて愛犬を抱きしむる手に温もり伝ふ

 

『折り鶴』中村徳子 500円

朋友と冬の草津を訪ねたり紅梅楚々と雪化粧して
白氷に銀世界なせる阿寒湖の夜空にひらく冬の花火
夢にみしロマンティック街道今は昔歴史は語る岩塩運びを

 

『綾取り』なかむら陽子 500円

おばあちゃんはちょいと夜遊びして来ます宵の街からラインを返す
ゆっくりね心解きっこしましょうね この世は綾取り縺れるものよ
ふりあげた拳のおろし所なく意地っ張りやのトントンズモウ

 

『そめかへばや〜77歳・64歳と寄り添へば〜』なかむら陽子 500円

染めかへばや有るはずもなきと思へども恋せよ乙女カーテンコール
七十七歳六十四歳と寄り添へば梓川ひかる五色の流れ
春の宿 枕に届く海鳴りの唄を聞きつついつか夢路へ

 

『苺ジャム』華子 500円

十分に熟れし苺を選びつつリッチなジャムを作らむと思ふ
幻想の世界を自在に操りてキャロルの作りしワンダーランド
気ままなる一人の旅のつれづれに雨ふる京都の裏道を行く

 

『忍』張間玲子 500円

緋の色の鶴折るといふ詩は悲し平和の願ひ唄ふ学生
長崎の空に向かひて祈る手におのづと落つる涙は熱き
叱る母「稽古で出来て本番に何故出来んのや」又泣く坊や

 

 『健気 KENAGE』松下由佳 500円

ライオンの水晶体は輝けりあなたはゴールドわれはブラウン
棒ひとつくわえてじゃれる白熊の水蹴る肉球くるりくるり
物思ひする人のごと水中に瞬きをする小さき河馬の眼

 

『さぬはりの道〜100年のしずく〜』松本ちよこ 500円

さめやらぬ瞼のうちに朝明けの光さぶしみ吾が臥しゐたり
再発を怖るる心かすかなる胸の音にも息ひそめけり
ぬはり携じへやさしく声をかけくれし君をま白き芙蓉と思ふ

 

『黎明に』山本富士子 500円

黎明にすみ絵の如く浮き出でし穂高連峰夫と並び見つ
ヒヤシンス白根見えたりあわあわと恥じらう如く微笑む如く
百年の人生語る老僧の「ゆつくりしいや」の声のやさしさ

 

『ちょろちゃん』若井富士子 500円

「歩いたよ」きのう立っちの幼子はあんよあんよで五六七八
いやいやの真っ盛りなる二歳児は今日も自分で地球を回す
書店にてなぜか気になる本のあり厚さ五センチ『中学数学』

 

南天の実』渡邉喜代子 500円

あちこちよりシャッター切られ何となくおばあちゃま最後の写真のやうよ
人は唯ひとりで老いるものにあらず庭の木々やら想ひ出と共に
母上も最後のころは長椅子にまどろみ居たりき今の我もよ

 

H-7~8 アポロ短歌堂

『Apollo31(アポロサーティーワン)』 800円

平成が終われば次は短歌がブームになる「短歌」元年!

・大特集 短歌探偵 来栖英梨 -second season-

・短歌ドキュメンタリー「三十一音が支えたもの」

・TANKA GO ON出張対談 「新時代突入!これからの短歌」

・短歌に関するオリジナル楽曲3曲つき

 

H-10 ふわのかい

短歌雑誌『ふは(fuwa)』滝本賢太郎/中島裕介/こうさき初夏(そな)/内山佑樹 500円

 創刊号の特集は《佐藤佐太郎『歩道』》です。

企画1《定点観測うた日記》

企画2《『歩道』に寄せるエッセイ》

企画3《『歩道』読書会レポート》

その他、岩倉文也氏、pha氏による「道」をテーマとした特別作品もお楽しみいただけます。

 

H-12 穀物

穀物 第5号』 400円

 いつ自分がさうだと気づきましたか、と入国審査のやうに問はれつ(川野芽生)

ご家庭のごみの廃棄の朝焼けの終わる間際のペットボトルを(新上達也)

わたくしの傷は旨いか 薄氷を踏みぬけば満たされて おまへも(濱松哲朗)

 

【New!】

H-13 ほうろう

歌集『砂漠の庭師』予告ペーパー (フリーペーパー)

文字が死ぬ感覚だけで生きていく喪に服しては得る 物語

救急車来るときみんな一斉に端に寄るって不思議ね 秋雨

思い出す祖母の人生ふさふさと麦は実って青く青く 目

 

H-14 ベランダでオセロ

『ベランダでオセロ』御殿山みなみ/佐伯紺/橋爪志保/水沼朔太郎 800円(購入者にフリーペーパーあり)(詳細記事はこちら

戦犯はぼくらしいのでそれはもうよい戦争があったのだろう(御殿山みなみ)

目を閉じることは信じることだからそうして切られすぎた前髪(佐伯紺)

ゆるやかなマイムマイムの足取りで去るから春はしみじみと好き(橋爪志保)

クーラーでどんどん埃の積もる場所 そうでない場所 海岸線だ(水沼朔太郎)

【New!】

『tanqua franca』 1200円

カッターの刃を折ったとき先端がどこかに飛んで平成終わる(穂村弘「ミイが出るまで」)

ひかれあふ銀河と銀河、とおもふ、朝、うつつの箸に納豆ねりて(睦月都「犬墓守」)

蜜柑なげてよこす父にも妻のあるごとくわれには君のあらむか(寺井龍哉「薄暮点描」)

 

H-15 七星軒

『歌集あかいあかし』高村七子 400円(『句集あかいあかし』とセットで700円)

十九で止まった兄の年齢を越して線香がわりに煙草

マリアとは火のまたの名か花々と共に体はいだかれてゆく

たましいは蝶になるのと言っていた君が帰ってきたような庭

 

H-17 くゆりら実験室

『夏の宿題』佳丘一穗 700円

こんばんは 生まれ続ける具象用絆創膏にこまっているひと(折り句:工具箱)

鏡には右ききの僕、年輪観察日誌を同名で書く(折り句:紙粘土)

もっといい子でありたいよ 羽化の晩ぼんやりひかるドリームランド(折り句:木工ボンド )

 

『第一理科室』佳丘一穗 700円

売店の猫会議にて場違いな回転木馬凛々しく廻る(折り句:ばねばかり)

点々と木々のたましい揺れはじめ嬉しい日には銀の雨ふる(折り句:天球儀)

【プランA】連絡係のパン屋からラージサイズの塔を受け取れ(折り句:プレパラート)

 

H-21 ぬばたま

「ぬばたま」第3号 600円

まばたきをあなたはしてる瞬きは光やあなたにつかえることば(初谷むい)

もう来ない部屋の鏡台ひややかにあなたと指されたいうしろゆび(乾遥香

葉月尽 レモンサワーに秋が来て酸きこと君にくり返しいふ(越田勇俊)

 

【New!】

『さけさけの短歌 フリーペーパー vol.1』阿部圭吾、大森晴加、髙良真実、九条しょーこ

触れ得ない高さから空 クロアゲハ、猛禽、プロペラ機が空をゆく(髙良真実)

だれでもと言うのはうそだ youtubeで雷の音聞いている、窓(大森晴加)

立つための足であなたは立っている 雪原 あなたという雪の骨(阿部圭吾)

 

H-27 神丘風翔

『異界をさがす』神丘風 400円

ゆとりとかさとりとかの揶揄黙殺しわが身を誇れうたえ平成

盆の朝せっけん香る病院で祖母は他人に洗われている

僕たちも冥王星から見てみればまだ愛しあっているのだろうな

 

H-28 あわいぞん

『エターナルワンルーム』春原はなれ 200円(詳細記事はこちら

天国に行けず川辺の町にいて六文銭はオセロに使う

こそあどで成り立つ会話ゆっくりとマリンスノーに僕らはなろう

五年後も何も叶えずこの部屋で君と「いつか」と言い合っていたい

 

H-30 東北大学短歌会

東北大学短歌会』 500円

君がひらくための朝だよ抱えきれない光を抱いてたわむカーテン(岩瀬花恵)

海沿いのガードレールに腰掛けた過去が背中を撫でると知って(工藤真子)

でもいつか溺れる パチ屋ばっかりの街で上手に僕は暮らして(佐藤廉)

 

H-31 東京大学Q短歌会

『Q短歌会 第一号』 500円

朝食の君を眺むることたのしくるりとはがさるるクロワッサン(佐藤あおい

罪のなき寝坊を知らぬ海上もいろとりどりに楽しげである(小林大輝)

街角の赤信号は留めている。画鋲となって二人の街を(メルクリフ)