歌人リレー企画「つがの木」〜ネット歌人編〜第6回 宇野なずきさん

こんにちは、短歌プラットフォーム「さんばし」です。

 

さて、今回は歌人リレー企画「つがの木」ネット歌人編第6回、ゲストは宇野なずきさんです。

 

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こんにちは、宇野なずきです。

普段はインターネットを中心に活動しています。Twitternoteで短歌を発表したり、ひざかけちゃーはん2というWebサイトであまり更新しない連載をしたり、TikTokに短歌の動画を投稿したりしています。

また、「最初からやり直してください」という最高の歌集を販売しています。現在はKindle版のみで購入可能です。

 

リンクを全部貼ります。

 

Twitterhttps://twitter.com/unonazuki

notehttps://note.mu/regulusalpha

ひざかけちゃーはん2の連載:https://friedrice.work/?cat=25

TikTokhttp://vt.tiktok.com/JLaChg/

歌集「最初からやり直してください」:https://www.amazon.co.jp/dp/B07BR58CF6/ref=cm_sw_r_tw_awdb_c_x_wbtoCbVX6NY3D

 

 

 

自選5

 

わたくしは便利な道具でございます操作手順を誤って死ね

 

(連作20首「感情がなくて悲しい」)

 

 

昨日死んだ誰かが生きたかった今日 無駄に過ごさせていただきます

 

(連作10首「特徴のない怪物」)

 

 

勘違いさせる温度でカフェオレはまるで幸せみたいな湯気を

 

(連作50首「希死念慮キック」)

 

 

シェルターの中はあたたかくて何で避難したのか忘れてしまう

 

(歌集「最初からやり直してください」ひかりってひらがなで書くひと)

 

 

観客のいない人生だとしてもわたしは舞台袖にいるから

 

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宇野なずきから紹介するのはナタカさんです。

僕と同じく結社などには所属せず、主にインターネットで活動されています。

 

 

宇野なずきが選ぶナタカさんの5

 

 

帰れなくならないように手加減をしながらめちゃくちゃに走り出す

 

(「ドラマ」Ⅱ)

 

 

猫の鳴き真似が上手になりました友人は少しずつ減ってます

 

(「ドラマ」Ⅳ)

 

 

曇りのち雨のち曇り強く雨 傘をさすことには慣れている

 

(「ドラマ」Ⅶ 札幌)

 

 

孤独って毒なのかなあなんかみんな触れないようにしてるんだよね

 

(「ドラマ」Ⅸ)

 

 

怒るのを見たことがない人がただじっと見ている川の氾濫

 

(「ドラマ」うたの日)

 

 

 

帰れなくならないように手加減をしながらめちゃくちゃに走り出す

まるでドラマのワンシーンみたいに走り出す。でも何も考えずに感情に任せて走るのではなく、頭のどこかで冷静に俯瞰してしまう。どうしても今後のことを考えてしまう。僕たちはドラマの登場人物ではなく、めちゃくちゃに走った後も地続きの人生を進めていかなければならない。

 

 

〈猫の鳴き真似が上手になりました友人は少しずつ減ってます〉

人前で猫の鳴き真似をするのはやめた方がいいという教訓が学べるな〜。

 

 

〈曇りのち雨のち曇り強く雨 傘をさすことには慣れている〉

中々晴れることがなく、止んだと思えばまた雨に濡れる。降りかかる不幸に慣れてしまっている。不幸に慣れる必要などないというのに。作中主体には幸せになってほしい。

 

 

孤独って毒なのかなあなんかみんな触れないようにしてるんだよね

孤独が毒になる人と、孤独でないことが毒になる人がいる。「人はひとりでは生きていけない」とは良く聞く言葉だが、自分には孤独がまるで苦痛ではなく、それにより自分が異端な存在のように思えてしまう。

 

 

〈怒るのを見たことがない人がただじっと見ている川の氾濫〉

その人の怒りは表面に出ていないだけで、体の内側では川の氾濫のように激しく暴れているのかもしれない。本当のことなど分かるはずもないのに、その光景からつい邪推してしまう。怒りではなく悲しみの末に川を眺めているのかもしれないし、ただの川マニアかもしれない。ナタカさんの短歌は、静かな中に存在する感情、のようなものの表現がとても良いと思う。

 

以上の短歌はすべてナタカさんの歌集「ドラマ」に収録されています。(https://utanataka.booth.pm/items/890168

 

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ありがとうございました。

更新予定

3月27日(水) 学生短歌会編 村上航さん

4月3日(水) ネット歌人編 ナタカさん

変更の可能性がありますので、最新情報はTwitter@sanbashi_tankaをご確認ください。

 

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